← トップへ戻る ⚠️ 税務調査リスク
2026年最新版・税務調査の頻出指摘

役員貸付金・
役員借入金の正しい処理
税務調査でよく指摘される論点と対策

「副業法人を作ったら、いつの間にか『役員貸付金』が膨らんでいた」——これは副業法人主にとって、税務調査でほぼ確実に指摘される論点です。認定利息・利益相反・議事録の3点セットを、実体験ベースで整理しました。

読了時間 約7分 | 副業法人主・必読

結論:役員貸付金は「あるなら毎年清算」が原則

結論からお伝えすると、副業法人で役員貸付金が長期間残るのはほぼ確実に税務調査で指摘されます。発生してしまうこと自体は珍しくありませんが、放置すると以下の問題が連鎖的に発生します。

👉 この記事で解決すること
役員貸付金・借入金が発生した時の正しい仕訳と利息処理、議事録の作り方、税務調査で実際に指摘される論点、すでに発生してしまった場合の解消法までを、副業法人主視点で整理しています。

役員貸付金 vs 役員借入金の基本

言葉が似ているので混同しがちですが、立場がまったく逆です。

注意度:高

役員貸付金

法人 → 役員にお金を貸している状態。法人の資産。生活費の引き出しすぎなどで発生しやすい。税務調査の頻出指摘対象。

注意度:低

役員借入金

法人 ← 役員からお金を借りている状態。法人の負債。設立時の自己資金や立替経費の精算で発生しやすい。指摘リスクは低い。

仕訳イメージ

取引 仕訳 意味
会社のお金から役員へ10万円送金 役員貸付金 100,000 / 普通預金 100,000 会社が役員にお金を貸した
役員が立替経費を1万円申請 消耗品費 10,000 / 役員借入金 10,000 会社が役員に1万円返す義務
役員が会社に5万円振込(資金繰り) 普通預金 50,000 / 役員借入金 50,000 会社が役員から5万円借りた

なぜ副業法人で発生しやすいのか

副業法人で役員貸付金が発生する典型パターンは3つあります。

パターン1

役員報酬を超えた引き出し

「来月の生活費が足りないから、ちょっと会社のお金を使おう」を続けると、役員報酬を超えた金額が貸付金として積み上がります。これは副業法人で最も頻発するパターン。

パターン2

個人と会社のクレカ・銀行口座の混同

個人カードで会社の経費を支払う/会社カードで個人の買い物をする、を整理しないと、決算時に「これは法人の経費じゃない」と判明し、貸付金扱いに修正される。

パターン3

設立直後の資金繰り

逆に、設立直後で売上が立つ前に役員が会社にお金を入れると、これは役員借入金。借入金は問題視されにくいが、返済時の資金移動が「貸付」になる時期もあるため、定期的に残高を確認する必要がある。

私自身、副業法人を作って最初の1年は「会社のお金=自分のお金」のような感覚が抜けず、月に数回、生活費の足しに会社口座から個人口座に振り込んでいました。

初回の決算時、税理士から「これ全部役員貸付金になりますよ」と指摘され、180万円ほどの貸付金が積み上がっていることが判明。慌てて翌期の役員報酬を増額して、給与天引きで返済する形に組み替えました。完全になくなるまで約8か月かかりました。

認定利息の計算ルール(無利息はNG)

役員貸付金には適正な利息を取らないと税務上問題になります。これが「認定利息」と呼ばれる論点です。

なぜ無利息ではダメなのか

法人が役員に無利息でお金を貸すと、税法上は「利息分の経済的利益を役員に供与した」と扱われます。この経済的利益は役員給与(賞与)とみなされ、以下の課税が発生します。

適正な利率の目安

2026年5月時点、税務上の適正利率の参考値は「特例基準割合」と呼ばれる年0.9%程度の水準です(年により変動)。これは国税庁が毎年公表する利率を基準とします。実務では税理士が当年の適正レートを示してくれることが多いです。

計算例
役員貸付金の年間平均残高が180万円・適正利率0.9%の場合、認定利息は
180万円 × 0.9% = 16,200円
この金額を法人の収益として計上し、役員側で支払う仕訳を入れます(仕訳:未収入金 16,200 / 受取利息 16,200 など)。

利息を実際に取らない場合

実務では「未払いのまま会計年度をまたぐ」処理も見られますが、長期間未収のままだと税務調査で指摘されます。基本は役員報酬から差し引いて精算するか、毎期キャッシュで精算するのが安全です。

利益相反取引と議事録の作り方

法人と役員の貸付・借入は会社法上の利益相反取引に該当します(会社法356条1項2号、365条)。これは「自分自身と契約する形になる取引のこと」で、客観的に見てフェアであることを示すための社内手続きが必要です。

必要な手続き

議事録の最低限の記載項目

議事録は1枚で OK
一人会社の議事録は形式的なもので構いません。Word で作って印刷・押印しておくだけで、税務調査時に「ちゃんと手続きを踏んでいます」という根拠になります。
議事録なしのリスク
議事録がない場合、税務調査で「利益相反取引としての適法性に疑義あり」と指摘され、貸付・借入の処理そのものが否認される可能性があります。法人税・所得税の追徴に加えて、悪質と判断されれば重加算税のリスクもあるため、必ず作成しましょう。

税務調査での頻出指摘パターン

副業法人の税務調査で、役員貸付金まわりで実際に指摘されるパターンを整理します。

① 認定利息の計上漏れ

最も頻出。「貸付金が複数年残っているのに、利息を1円も取っていない」という状態を指摘されます。過去年分まで遡って認定利息を再計算され、追徴税額が発生することがあります。

② 議事録不備

貸付・借入の意思決定を裏付ける議事録がない、または金額・利率の記載がないケース。利益相反取引としての適法性を問われます。

③ 長期未返済の貸倒処理

5年・10年と返済されない貸付金を「貸倒損失」として処理しようとしても、役員に対する債権は実態判断が厳しく、簡単には貸倒として認められません。返済されないまま放置するのが最悪パターン。

④ 個人経費の混入

「これは法人の経費ではない」と判断されると、その金額が役員貸付金に修正されます。さらに過去の決算をやり直すケースも。

修正されるとどうなるか
例えば「100万円分の支払が個人経費だった」と判定された場合、過去の決算を修正し、その100万円が役員貸付金として復活します。これに対する認定利息も追加で課税されるため、二重・三重に痛むケースが珍しくありません。

役員貸付金の解消法(4つの選択肢)

すでに役員貸付金が発生してしまった場合の解消法を、現実的な順に整理します。

方法1

役員報酬を増額して給与天引きで返済

最も実務的な方法。役員報酬を月額数万円増やし、増額分から貸付金の月次返済を引きます。ただし役員報酬は期首から3か月以内の改定が原則のため、計画的に組み立てる必要があります。

方法2

役員賞与で一括返済

事前確定届出給与の届出を行い、役員賞与で一括精算する方法。ただし役員賞与は損金不算入なので、法人税は減りません。本人の所得税・住民税・社会保険料の負担増もあるため、効率は悪い選択肢。

方法3

役員借入金と相殺

役員側に法人への貸付(役員借入金)がある場合、貸付金と借入金を相殺する。仕訳:役員借入金 / 役員貸付金。実務的にはこのパターンが該当することは少なめ。

方法4

個人の他の資産で返済

退職金・配当・賞与など、個人で受け取る他の資金で一括返済。手続きは簡単だが、まとまった資金が必要。

解消の進め方の例

  1. 決算で貸付金残高を確定(例:120万円)
  2. 翌期の役員報酬改定で月額10万円増額
  3. 増額分のうち月10万円を貸付金返済として処理
  4. 12か月で貸付金120万円を完済
  5. 翌々期から役員報酬を元の水準に戻す(または継続)

よくある質問(FAQ)

Q. 役員貸付金と役員借入金は何が違うのですか?

A. 「役員貸付金」は法人が役員(自分)にお金を貸している状態、「役員借入金」は法人が役員から借りている状態です。法人の貸借対照表で見ると、役員貸付金は資産、役員借入金は負債として計上されます。副業法人では、生活費の引き出しすぎで貸付金が発生したり、設立時の自己資金で借入金が発生したりするケースが頻出します。

Q. 役員貸付金には利息を取らないとダメですか?

A. 原則として適正な利息を取る必要があります。無利息で貸し付けると、税法上は「役員に経済的利益を供与した」とみなされ、認定利息が役員給与として課税される可能性があります。2026年5月時点の認定利息の参考レートは、特例基準割合(年0.9%程度)を基準とした水準です。利息を取って法人の収益に計上するのが安全な処理です。

Q. 役員借入金は利息を取らなくても問題ないですか?

A. 役員から法人への貸付(=役員借入金)は、無利息でも実務上は問題視されにくい傾向があります。理由は、法人にとって有利な条件であり、役員側に経済的利益が供与されているとは判断されにくいためです。ただし、極端に高い金利を取ると役員賞与とみなされるリスクがあるため、利息を取る場合は適正レート(市場金利程度)に揃えるのが安全です。

Q. 役員貸付金は税務調査でどう指摘されますか?

A. 代表的な指摘パターンは3つあります。①無利息(または低利)での貸付に対する認定利息の計上漏れ、②利益相反取引の議事録不備、③長期間返済されない貸付金の貸倒損失処理の妥当性。中でも認定利息の指摘は副業法人で頻出します。年に1回でいいので、貸付金残高に対する利息計算と仕訳を入れておくのが基本対策です。

Q. 役員貸付金が発生してしまった場合の解消法は?

A. 解消法は主に4つあります。①役員報酬を増額して給与天引きで返済、②役員賞与で一括返済、③役員から法人への貸付(役員借入金)と相殺、④個人の他の資産で返済。多くの副業法人では①の月次返済が現実的です。ただし役員報酬は期首から3か月以内の改定が原則のため、計画的に組み立てる必要があります。


📝 この記事のまとめ

⚠️
役員貸付金は税務調査の頻出指摘。無利息での貸付・議事録不備・長期未返済の3点はほぼ確実に見られる。
📊
認定利息は毎年計上。特例基準割合(2026年は約0.9%)を使って、貸付金残高に対する利息を計算し仕訳する。
📝
議事録は必ず作成。一人会社でも形式的に1枚作っておく。会社法上の利益相反取引としての根拠になる。
🔄
解消は役員報酬の増額+月次返済が王道。期首3か月以内の改定で計画的に組み立てる。
💼
個人と会社のお金は明確に分離。会社カード・口座の私的利用は将来の税務調査で必ず効いてくる。
税理士に貸付金の処理を相談する

役員貸付金は早めの解消で追徴リスクを最小化

「すでに貸付金が積み上がってしまった」「認定利息の計算がよく分からない」など、個別事情の判断は税理士相談が確実です。副業法人に強い税理士の無料相談で、解消プランを聞いてみてください。

税理士の無料相談を探す →
※本記事は2026年5月時点の税法・実務に基づく一般的な情報提供を目的としたものです。実際の処理・解消プランは、必ず税理士等の専門家にご相談のうえ、読者ご自身の判断で行ってください。特例基準割合などの利率は毎年変更される可能性があります。
※本サイトはアフィリエイト広告を含みます。