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結論:規程+運用記録のセットで節税効果を確保
出張日当は副業法人主にとって強力な節税ツールです。個人側は非課税・法人側は経費という二重メリットがあり、月数万円の日当を継続支給すれば年間数十万円規模の節税が可能。
ただし、これを成立させる前提が「旅費規程+運用記録」のセット。規程なし・記録なしで日当を支給すると、税務調査で否認されて役員給与認定→所得税課税+法人税の損金不算入、というダブルパンチになります。
出張日当の節税効果、コピペで使える旅費規程の雛形、日当の妥当金額の目安、運用記録の方法、税務調査で否認されないチェックポイントまで整理しています。
出張日当の節税効果(個人非課税×法人経費)
節税効果の試算
例:月5回の出張×日当5,000円のケース
- 月25,000円・年30万円が個人非課税で受け取れる
- 所得税率20%なら、年6万円相当の節税効果
- 法人側でも30万円が損金算入され、法人税が約7.5万円減少(実効25%)
- 合計:年間約13.5万円の節税効果
なぜ個人非課税なのか
所得税法上、業務上の出張に伴う実費弁償的性質の支給は給与所得として課税されません。これは「出張時には食事代・通信費・雑費などの追加費用が発生する」という前提に基づく合理的な税制設計です。ただし、規程なしの恣意的な支給は実費弁償と認められず、課税対象になります。
旅費規程の雛形(コピペ可)
以下のテンプレを Word・Google ドキュメントなどに貼り付けて、自社用にカスタマイズして使ってください。
○○合同会社 旅費規程
第1条(目的)
本規程は、当社の役員及び従業員(以下「役職員」という)が業務のため出張する場合の旅費の支給に関する基準を定めることを目的とする。
第2条(定義)
本規程における用語の定義は以下のとおりとする。
- 「出張」とは、業務のため通常の勤務地を離れて旅行することをいう。
- 「日帰り出張」とは、出発した日に帰着する出張をいう。
- 「宿泊出張」とは、出張先での宿泊を伴う出張をいう。
第3条(旅費の種類)
旅費は以下の各号に掲げるものとする。
- (1) 交通費
- (2) 宿泊費
- (3) 出張日当
第4条(交通費)
交通費は実費を支給する。経済合理性を勘案し、原則として公共交通機関を利用するものとする。やむを得ずタクシーを利用する場合は、業務上の必要性を証明する記録を残すこと。
第5条(宿泊費)
宿泊費は実費を支給する。1泊あたりの上限額は以下のとおりとする。
- 役員:15,000円
- 従業員:10,000円
※ 大都市圏(東京・大阪・名古屋等)での宿泊及び繁忙期等で上記金額を超える場合は、事前に承認を得ることを条件に超過分の支給を認める。
第6条(出張日当)
出張日当は以下の基準により支給する。
| 区分 | 日帰り出張 | 宿泊出張 |
|---|---|---|
| 役員 | 3,000円 | 5,000円 |
| 従業員 | 2,000円 | 3,500円 |
※ 海外出張の場合は別途定める。
第7条(出張の申請及び報告)
役職員は出張に先立ち、出張申請書を提出するものとする。出張完了後5日以内に出張報告書を作成し、領収書を添付して提出するものとする。
第8条(旅費の精算)
旅費の精算は、出張報告書提出後、原則として翌月の給与支払日に行う。
第9条(規程の改廃)
本規程の改廃は、社員総会の決議によって行う。
附則
本規程は、2026年○月○日より施行する。
日当の妥当金額の目安
| 区分 | 日帰り | 宿泊 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 役員(中小企業) | 3,000〜5,000円 | 5,000〜10,000円 | 大企業基準より低めが副業法人で安全 |
| 役員(大企業) | 5,000〜8,000円 | 10,000〜15,000円 | 規模感を真似ると否認リスク高い |
| 従業員 | 2,000〜3,000円 | 3,000〜5,000円 | 役員との差を1.5〜2倍程度に |
高すぎる日当のリスク
日帰り2万円・宿泊3万円のような極端に高い日当は、税務調査で「実質的な役員給与」と認定されるリスクが高くなります。安全圏は大企業役員の基準より少し低めに設定し、従業員との差を抑えること。
副業法人では「役員1人=従業員ゼロ」のケースが多いですが、規程上は「従業員」の区分も残しておくと、将来的に従業員を雇った場合や、役員給与認定リスクの低減に役立ちます。
出張日当台帳の運用方法
規程だけ作って運用していないと、税務調査で「実態がない」と指摘されます。日当支給ごとに以下を記録します。
出張日当台帳の記載項目
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 出張日 | 2026/05/09 |
| 出張者 | 代表社員 ○○ |
| 行先 | 大阪市(△△株式会社 本社) |
| 目的 | 新規取引先との打ち合わせ |
| 区分 | 日帰り出張 |
| 日当金額 | 3,000円 |
| 交通費(実費) | 新幹線 14,000円 |
| 領収書 | あり(番号 #2026-051) |
これを Excel・Google スプレッドシート・Notion などで一元管理しておけば、税務調査時に「規程通り運用していた実態」を即座に証明できます。
私自身、副業法人成り直後は「規程は作ったけど、台帳までは…」と運用を雑にしていた時期がありました。3期目の決算前に税理士から「日当規程を運用しているなら、必ず台帳と領収書もセットで残してください」と指導され、慌てて Notion で出張日当台帳を整備しました。
結果として、月1度の振り返りで日当を仕訳に反映する習慣ができ、運用の安心感が大幅に上がりました。最初に台帳テンプレートを作っておけば、後の手間は月10〜15分程度で済みます。
税務調査で否認されないための4つのチェック
- ① 規程の社員総会承認・議事録保管:規程制定時に社員総会の決議+議事録を残す。
- ② 日当金額が同業他社と比較して妥当:大企業役員の半分〜2/3程度に収めるのが安全。
- ③ 役員と従業員の日当差が極端でない:1.5〜2倍程度に収める。
- ④ 出張実態の記録(台帳+領収書):毎回の出張で行先・目的・取引先・領収書を記録。
日当が役員給与認定された場合、①個人側で所得税・住民税の追徴、②法人側で損金不算入→法人税増、③源泉徴収漏れの不納付加算税、の3点ダメージが発生します。年30万円の日当が3期分否認されると、追加税負担で30〜50万円規模になることも。日常の運用記録の手間と比較して、対策コストは圧倒的に低いです。
よくある質問(FAQ)
Q. 出張日当はいくらまで設定できますか?
A. 法令上の上限金額は明記されていませんが、実務的には役員クラスで日帰り3,000〜5,000円・宿泊5,000〜10,000円程度が妥当な範囲とされています。「同業他社の相場と比較して妥当」「役員と従業員のバランスが取れている」「実費との差が極端ではない」の3点が判断軸。極端に高い日当(例:日帰り2万円)は税務調査で役員給与認定リスクが高まります。
Q. 旅費規程は副業法人にも必要ですか?
A. 出張日当を経費計上するには旅費規程の整備が必須です。規程がない状態で日当を支給すると、税務調査で「役員給与」とみなされ損金不算入+所得税課税のリスクがあります。副業法人の役員1人だけでも、社員総会の決議+規程文書の作成+議事録の保管が必要。テンプレを使えば1〜2時間で整備可能です。
Q. 日当を支給したら何を記録すればいいですか?
A. 出張のたびに以下を記録します。①出張日・行先・目的、②訪問先(取引先名)、③日当の金額、④出張報告書(簡単なもので可)、⑤領収書(交通費・宿泊費)。これらをExcelやNotionで「出張日当台帳」として一元管理しておくと、税務調査時に「規程通り運用していた実態」を証明できます。
Q. 日当の節税効果はどのくらいですか?
A. 日当は「個人側で非課税・法人側で経費」のダブル効果があります。例えば月5回の出張で日当5,000円なら月25,000円・年30万円が個人非課税で受け取れます。所得税率20%なら年6万円相当の節税効果。本業給与で受け取るより手取りで30%程度有利になる強力な節税ツールです。
Q. 出張日当で税務調査の指摘を受けやすいパターンは?
A. 頻出パターンは4つあります。①規程がないまま日当支給、②規程はあるが金額が極端に高い、③役員と従業員の日当差が極端、④出張実態の記録が薄い。中でも③④は副業法人で頻出。日当規程と運用記録のセットで管理することが防御策です。
📝 この記事のまとめ
規程の整備+日当の妥当金額は税理士確認で安心感が違います
「本記事の雛形を自社用にカスタマイズしたい」「日当金額が業種・規模に妥当か不安」など、個別判断は税理士相談が確実です。副業法人主向けの無料相談を活用してみてください。
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