📋 この記事の流れ
結論:手取りは月6.5〜7万円程度
結論からお伝えします。副業マイクロ法人で役員報酬を月10万円(年120万円)に設定すると、社会保険料・所得税・住民税を引いた手取りは概ね月6.5〜7万円になります。年間で約78〜84万円が手元に残る計算です。
「10万円取るのに3万円以上引かれるの?」と感じる方もいますが、これは本業給与と合算しての社保按分・所得税の限界税率(20%程度)が効いた結果です。
月10万円の役員報酬の社保・税金の具体計算、なぜ「月10万円」がよく語られるのか、年収帯別の手取りシミュレーション、役員報酬ゼロとの比較まで実数字ベースで整理しています。
「月10万円」がよく語られる4つの理由
理由1:社保最低等級に近く、コスト最小化
標準報酬月額の最低等級(健康保険・厚生年金とも約5.8万円〜8.8万円相当)に近い水準で、社保適用を受けながらコストを抑えられる。月20万円・30万円と取るより1人あたりの社保負担は低い。
理由2:給与所得控除55万円の活用
役員報酬は給与所得扱い。給与所得控除の最低額55万円が使えるため、年120万円の役員報酬でも給与所得は65万円に圧縮される。本業給与の控除55万円も別途使えるので、二重に控除を活用できる。
理由3:本業合算で所得税の累進が大きく動かない
本業年収500〜700万円程度の人にとって、月10万円(年120万円)の上乗せは限界税率20%帯に収まることが多く、税負担の追加が予測しやすい。月20万円以上だと税率帯が上がる可能性。
理由4:家族役員報酬と組み合わせやすい
自分月10万円+配偶者月10万円のような構成にしやすく、世帯単位の所得分散戦略が組みやすい。月10万円=年120万円は配偶者控除の壁(103万・150万円)の検討対象としても扱いやすい金額。
社会保険料の具体計算
本業+副業法人の合算で社保が按分計算される仕組みです。シンプルケースで試算してみます。
前提:本業月給40万円+副業法人役員報酬月10万円
📊 社会保険料の計算(概算)
※ 上記はあくまで概算。実際は標準報酬月額の等級・年齢・健保組合の料率で変動します。
本業のみだった時の社保(月約59,200円)と、合算後の本業按分(月約59,200円)はほぼ同じ。副業分の月14,800円が「上乗せ分」として発生するイメージです。本業の手取りが減るわけではなく、副業法人側で14,800円分の社保が新たに発生する構造。
所得税・住民税の具体計算
役員報酬は給与所得として課税されます。本業給与と合算した課税所得に対して所得税・住民税が計算されます。
前提:本業年収600万円+副業法人役員報酬年120万円
📊 役員報酬120万円分の追加税負担(概算)
※ 上記は本業年収600万円の場合の限界税率20%を前提にした概算。家族構成や控除によって実際の税額は変動します。
手取り計算
📊 月10万円役員報酬の年間手取り(本業年収600万円ケース)
月平均すると、約 68,950円/月の手取り増(10万円の約69%)となります。
本業年収別 手取りシミュレーション
| 本業年収 | 所得税限界税率 | 役員報酬10万円 年間追加税 |
年間手取り増 | 月平均手取り |
|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 10% | 約162,500円 | 約860,000円 | 約71,700円 |
| 600万円 | 20% | 約195,000円 | 約827,400円 | 約68,950円 |
| 800万円 | 23% | 約214,500円 | 約807,900円 | 約67,300円 |
| 1,000万円 | 33% | 約279,500円 | 約742,900円 | 約61,900円 |
※ 上記は概算で、家族構成・控除・健保組合により変動します。本業年収が高いほど限界税率が上がり、追加役員報酬の手取り率が下がります。
私は副業法人成りの初期に「役員報酬を月10万取ろうかな」と検討した時、手取りが想定より少ないことに気づきました。10万円取って手取り7万円弱だと、「実質は7万円分の節税効果しか期待できない」とも言えます。
結果として「本業給与で生活費は足りているし、社保負担増を避けたい」という理由で役員報酬ゼロ運用に切り替えました。月10万円取ったほうがいいケースは、独立志向や厚生年金の受給額を増やしたい人など、長期目線で社保メリットを取りに行く人だと感じています。
月10万円 vs 役員報酬ゼロ どちらが得か
| 項目 | 役員報酬ゼロ | 役員報酬月10万円 |
|---|---|---|
| 個人の年間手取り増 | 0円 | 約80万円 |
| 社保負担増(年) | 0円 | 約18万円 |
| 所得税・住民税増(年) | 0円 | 約20万円 |
| 法人の課税所得増 | +120万円(経費減) | 0円(120万円が経費) |
| 法人税増(実効25%) | +30万円 | 0円 |
| 本業会社へのバレリスク | 低い | 中〜高 |
| 厚生年金の将来受給額 | 変わらず | 増加 |
向くケースの整理
- 役員報酬ゼロが向く:本業給与で生活費OK/本業バレリスクを最小化したい/法人内部留保→退職金戦略を取りたい
- 月10万円が向く:本業給与だけでは生活費が足りない/独立予定で社会保険の継続性を確保したい/厚生年金の将来受給額を増やしたい
よくある質問(FAQ)
Q. 副業法人で役員報酬を月10万円に設定すると手取りはいくらになりますか?
A. 本業の年収によって変わりますが、副業法人単体での月10万円のうち、社会保険料(個人負担約14.8%)+所得税(限界税率20%程度)+住民税(10%)を引いた手取りは概ね月6.5〜7万円程度になります。本業との合算で社会保険料が按分計算されるため、本業会社で控除される社保額も変動します。
Q. なぜ「月10万円」がよく語られる金額なのですか?
A. 理由は複数あります。①社会保険料の最低等級に近く、社保負担を最小限に抑えながら社保適用を受けられる。②給与所得控除の最低額55万円が活用できる。③本業給与との合算で所得税の累進税率が大きく上がらない範囲。④家族役員報酬と組み合わせやすい金額。これらの観点から「副業マイクロ法人の典型額」として広く語られています。
Q. 月10万円より少額(例:月5万円)でも社会保険に加入できますか?
A. 原則として加入義務があります。副業法人の役員でも報酬を取れば被保険者資格が発生します。標準報酬月額の最低等級は健康保険・厚生年金とも約5.8万円相当のため、月5万円程度の役員報酬でも社保適用対象。役員は労働時間・労働日数の要件で対象外になることはなく、報酬の有無で判定される点が一般従業員と異なります。
Q. 月10万円の役員報酬を取ると本業会社にバレますか?
A. 間接的にバレる可能性があります。経路:①本業会社の給与計算担当者が「社会保険料の控除額が変わった」と気づく、②住民税の特別徴収額が変動して経理が気づく、③源泉徴収票・年末調整書類の不整合。本業の副業規定が厳しい場合、月10万円の役員報酬を取るリスクは慎重に判断する必要があります。
Q. 月10万円の役員報酬と役員報酬ゼロ、結局どちらが得?
A. 本業給与で生活費がまかなえる副業サラリーマンなら役員報酬ゼロが有利になりやすく、本業給与で生活費が不足する人や独立志向の人なら月10万円程度の役員報酬を取るのが現実的です。家族構成・本業年収・将来計画で判断軸が変わるため、税理士に個別シミュレーションしてもらうのが確実です。
📝 この記事のまとめ
「自分のケースで月10万円が最適か」は具体計算で判断できます
本業年収・家族構成・将来計画で最適な役員報酬額は変わります。税理士の無料相談を活用して、自分のケース別シミュレーションを聞いてみてください。
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